『背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和展』練馬区立美術館

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私は、青楓のことは浅井忠と共に、洋画家としてよりも図案家として注目していた。
この回顧展で幅広い画業を総覧してもやっぱり、図案・装丁が一番良かった。
感覚的な線とフラットな面、日本的な色彩と装飾的な構図。こういった作風に無条件に惹かれる。
それにしても、その美しい図案が徴兵中に描かれたものだったなんて驚いた。

 

『背く画家』のタイトル通り、気概のある人。だけれど、反骨の人というより、傾倒する人という印象を受けた。漱石からの手紙を軸装して飾ったりするし、社会運動へ向かったことも、河上肇ありきだったように見えた。

 

洋画、日本画、南画、どれもモノする器用な人。作風はそのジャンルによって大きく変わるけれど、色彩に共通して感じられる特質があり、綺麗だった。クロッキーと油彩の人物画が私は好きだった(漱石の死に顔スケッチとかあった)。


ちなみに、青楓が気に入ったという漱石の手紙の一文は、

「世の中にすきな人は段々なくなります、 さうして天と地と草と木が美しく見えてきます」というもの。

諦観と悲哀が入り混じっているようで、せつない。漱石に興味が湧いた。

 

ところで練馬区立美術館前の公園、動物の像がいっぱいで可愛かった!

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