『ピーター・ドイグ展 』東京国立近代美術館

ドイグの制作方法は、写真・広告・映画等の既存イメージを自身の記憶と組み合わせて、心象風景を画面に生み出すというもの。情報化社会に暮らす私たちの視覚経路のようだと思った。

 

写実的リアリティとコンテキストを取り去った風景は、私的で夢のような非現実感が漂っていて、別世界へと連れて行ってくれる。

それと同時にドイグの絵画は、その物理的な強い存在感で、「しかしそこにあるのは物体である」と知らしめるようだった。

 

現代の文脈の中で、伝統的な絵画の原理に直接的に取り組むドイグはかっこいい。

絵画を目の前にして初めて得られる感覚が様々にあり、見る喜びに満たされた。

キャンバスが大きいことも爽快で、私はどうしたってペインティングが好きだ、と実感できた。

 

『ブロッター』

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特に気に入った作品。
ポツンと佇む人。森閑としていて内省的で孤独を感じるけれど、ドイグの自然に対する親密な眼差しを感じる。
テクスチャーが豊かで、これを綴れ織りにしたら面白いだろうなと思った。

 

『コンクリート・キャビンⅡ』

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色のやりとりが重層的で複雑なのに、筆の配置の的確さから、そのストロークや重ねた色の順序まで見て取れそうだった。どの作品も絵肌の作り込みが洗練されていた。
 

『のまれる』

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30億円で落札されたという話題作。 

 

 

夜間開館の駆け込みだったから近美コレクション展は見られなかったけど、ちょこっとのぞいたらベーコンの作品が出ていて、嬉しかった。

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