『窓展:窓をめぐるアートと建築の旅』東京国立近代美術館
「窓」という記号を通して、世界を眺める企画展。
窓が象徴するもの、窓の役割、窓に込められた暗喩、窓の機能…。様々な切り口で窓を観察することで、物事の多様な側面が浮かび上がる。
『窓に住む家/窓のない家』藤本壮介
この作品の出現によって「外」に「内」が誕生。「内」へ進むほど開口の重なりが複雑になり、「外」に対する感覚が変化した。
窓は二つの場を繋ぐものであると同時に隔てるものでもあり、窓は壁ありきであることに気付いた。
『麗子肖像』岸田劉生
頭上のアーチが立体的に描かれている。つまりこれは「"額装した麗子の肖像画”の絵」。それにしては立体的すぎる麗子の描写。この矛盾、鑑賞者にリアリティを感じさせるための、劉生の手法らしい。
二次元と三次元を行き来する麗子。窓(額縁)の向こうの世界をどう捉えるかは自分の認知が決めているのだなと体感した。
それにしても、次元の往来をさせられるなんて画家の父を持つと大変だな麗子…。
『よろい戸』ローマン・シグネール
展示されているのは、意味もなく開閉する窓の純粋な「運動」。(扇風機の風でバタン!バタン!と反復)
機能と目的から解放された窓。寄せては返す波のごとく、バタンバタンと月日を重ねて朽ちてゆくのだろうか…という無常を感じた。
楽しい企画展だった。
小沢剛のインスタレーションでは一芸の披露を求められるのだけれど、そこで堂々と踊ったり詩をそらんじたりできる人間でありたかった。
関連書籍を読んでから行ってよかったです。
https://bookmeter.com/books/7646369