『ハマスホイとデンマーク絵画』東京都美術館
ハマスホイの作品をまとめて見られるこの機会、ずいぶん前から楽しみにしていた。
やわらかな陽光の差す静かな室内画の数々。ハーフトーンの色味と、薄塗りで几帳面な筆致が美しかった。『寝室』が特に好きだった。
奇妙な作風だなぁと思う。
穏やかだけれど、生命感の薄い虚ろな雰囲気。どこまで意図されているのかわからない、部分的に不整合な描写。うっすらとした不安を感じる。
ハマスホイは北欧のフェルメールと評されるけれど、私はホッパーやヴァロットンを連想した。心理的距離の広がりを感じさせる絵。存在よりも不在を描く画家。
レリーフを模写した経緯も気になった。人というより人型、凝固した感じが、ハマスホイが好みそうに思えた。
同時代のデンマーク絵画、スケーイン派の作品もよかった。漁師たちの勇姿と、明瞭な光にロマンを感じた。太陽光の少ない北欧で、スケーインの光景は本当に眩しく映ったのだと思う。
ハマスホイと共通して全体的に生真面目な感じがするのは、プロテスタント国ということもあるのかな。
図録を買うか、関連書籍を買うか迷っている。