『保科豊巳退任記念展「萃点」SUI-TEN』東京藝術大学美術館
*萃点……熊楠の造語で“さまざまなものが集まる場所”の意。
油画で25年も教鞭を執られた保科氏の回顧展。
スタイルに激しい変遷がみられないのは、社会背景が変化しても変わらないものにテーマを置いているからかなと思った。東洋的な世界観を感じた。
『雨の降る家』
家の内外が逆転した構造。家の中だけドシャ降り。
“もう内部には住めないのだろうか?”
『氷上の痕跡』
“気が付いたら、安全地帯と死に至る危険地帯との間を歩いていた。”
どちらも「境目」を意識させられる作品。
境目をつくりだしているものはなにか。そもそも本当に分離しているのか。分離しているという認識はどこからきたのか。
これ、壁にぶつかった時に必ず立たされる場所だ。時々は、立ち返るべき場所。